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浄土真宗本願寺派 西法寺 大阪府柏原市

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浄土真宗とは

今月の法話

2010年3月の法話
        「信は うたがいなき こころなり」
(2010年 真宗教団連合「法語カレンダー」3月のことば)
 今月の言葉も親鸞聖人の書かれた『唯信鈔(ゆいしんしょう)文意(もんい)』の中の言葉です。 
 その書物の冒頭に≪「唯信鈔」というは、「唯」はただこのことひとつという、ふたつならぶことをきらうことばなり。また「唯」はひとりということなり。「信」はうたがいなきこころなり。すなはちこれ真実の信心なり、虚仮はなれたるこころなり。…(略)…本願他力をたのみて自力をはなれたる、これを「唯信」という≫と、示されています。

 親鸞聖人は、「信心」とは、阿弥陀仏のはたらきをそのまま疑いなく受けとり、そのはたらきにまかせていくことだとお示しになられています。その阿弥陀さまのはたらきとは、私たち一人ひとりを浄土に生まれさせ仏の悟りを開かせることです。私を仏に成らせ、本当の幸せを与えたいというのが阿弥陀さまのお心なのです。それは、私たちが色々なことで悩み迷い自分の思い通りにならないことで苦しんでいる現実にいるからです。

 2月27日、南米のチリで大地震が起こりました。日本でもその影響を受けて大津波が来るであろうと避難勧告が出された地域もありました。確かに今から50年前、1960(昭和35)年には同じチリの地震で大津波が押し寄せ三陸海岸地方では大きな被害をもたらしたことでした。日本から言えば遠く離れた地球の裏側で起こった地震で命を落とすこともあるのです。そういうこともあり、今回の避難勧告ということになったのだろうと思います。私たちは、地震であれ火事であれその他の災害であれ、また病気であれ、何時何が起こるかわからないところで生きているのでしょう。自分自身の命の保証などどこにもないのです。

 人間関係の上でも同じようなことが言えるかもしれません。多くの人の中に居ながら、色々なトラブルで、どんどん孤独になっていく方もいます。「一人ぼっちは何よりつらい……」以前に読ませて頂いたある本に書かれていた言葉です。又、あるお経には、「孤独とは地獄なり」と示されたものもあります。

 そんな私たち一人ひとりのことを放っておくことができないのが阿弥陀さまという方なのです。私を成仏させようということは、そんな不安を抱えて生きている私たちに絶対に崩れることのない安心を与えるということです。そのためには、私から一時たりとも目を離すことができないのです。いや、目を離すどころかずっと一緒に居て下さるのが阿弥陀さまなのです。

 阿弥陀さまがいつでもどこでも私たちにはたらき続け下さっていることは、私の口からお念仏(南無阿弥陀仏)が出ることでわかります。お念仏は、私が阿弥陀さまを呼ぶ声ではなくて、阿弥陀さまが「いつでもあなたと一緒にいるよ」と私に呼びかけ、語りかけて下さっている言葉だったのです。

 そんな阿弥陀さまのはたらきを、そのまま受けとらせて頂く、理屈も何もなく、ただそのままおまかせする。それが「信」(信心)だということを今月の言葉は示して下さっています。阿弥陀さまのはたらきをそのまま受けとらせて頂くことで、人間の命の限界を超えた広い世界が開かれるのではないかと思います。
南無阿弥陀仏