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浄土真宗本願寺派 西法寺 大阪府柏原市

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浄土真宗とは

今月の法話

2010年9月の法話
「弥陀(みだ)の願力(がんりき)は 生死(しょうじ)大海(だいかい)の
                  おおきなるふね・いかだなり」
(2010年 真宗教団連合「法語カレンダー」9月のことば)
 毎日、記録的な猛暑が続いています。今や最高気温35度・最低気温27度は当たりとなりました。「暑さ寒さは彼岸まで」と言いますが、今年はその言葉通りになってくれるのでしょうか?(この法話を書いていますのは8月30日です。3週間後には涼しく過ごしやすくなっていると期待しています。)

 今回の気象の異変は東部太平洋の赤道付近の海水温が平年より下がるラニーニャ現象のせいだとニュース等で言われています。エルニーニョ現象というのは以前よく聞いたことがありました。ラニーニャの反対で海水の温度が高くなるというものでした。どちらにせよ、この海水温の高低が地球全体の気象に大きな影響を与えていることは、間違いないようです。

 現代は情報がいろいろ届けられますから、上のようなことも多くの方が知っています。しかし、情報として知っていても、遠くの海の温度のせいで、今自分がこんなに暑いと思っていると私は考えられません。それよりもじりじり照りつける頭の上の太陽が恨めしいのです。
 これは、晴天が続き猛暑日が続く原因はラニーニャ現象であると教えられても、本当のところは、目の前にあることにだけとらわれてしまうのが私という人間であるということを示しているのではないかと思います。

 さて、今月の言葉は、以前にも出てきました親鸞聖人の著された『尊号真像銘文』(2010年1月の法話に説明済み)の中に出されている言葉です。

 「法蔵菩薩の48願(仏説無量寿経に説かれてあります)は、すべてのいのちあるものを救うために建てられた願いです。その願いを長い長い間修行をし、完成させ、法蔵菩薩は阿弥陀仏と成られました。
 ですから、阿弥陀さまが願いを完成させるための修行で得られた徳は、大いなる力(はたらき)をもっているということができます。その願いのはたらき(願力)は、迷いの大きな深い海に沈み込んでいる私たちを乗せて救う船であり筏(いかだ)であります」というのが今月の言葉の意味であると味あわさせて頂きます。

 先ほど少し書きましたが、私自身は、目の前にあるものだけにとらわれて、物事の本質が見えていないことが非常に多いのではないかと思います。
 親鸞聖人のお示しの中に「煩悩成就の凡夫」という言葉があります。私はあらゆる煩悩を欠くことなくそなえている人間であるということを表した言葉です。
 さらに、欲が多くて、怒りや腹立ちそねみねたむ心が多くて臨終のその時まで絶えず消えることのないのが私たち自身であると示されたのが聖人のお心なのです。
 ですから「愚禿釋親鸞(ぐとくしゃくしんらん)」と自ら名乗られたのでありましょう。

 自分の都合のよいようにと、我欲にとらわれて物事を判断し判別し生きていくことで大きな不安と迷いの中に沈み込んでしまうのが私たちであるということです。
 しかしそのような厳しいご教示をいただいても芯からそう受け取ることのできないのも私ではないかと思います。

 だからこそ、阿弥陀さまは私に「直しなさい」と言われるのでなく、煩悩成就の身そのままで乗らせることのできる「ふね」「いかだ」となり、はたらいて下さるのです。この身このままが阿弥陀さまのはたらきの目当てでありました。そんな阿弥陀さまのはたらきを、そのまま聞かせて頂きたいものです。
南無阿弥陀仏