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浄土真宗本願寺派 西法寺 大阪府柏原市

〒582-0021 大阪府柏原市国分本町5-6-19

TEL.072-977-3882

浄土真宗とは

今月の法話

2011年4月の法話
  「仏号(ぶつごう) はなはだ持(たも)ち易(やす)し
         浄土(じょうど) はなはだ往(ゆ)き易(やす)し」
(2011年 真宗教団連合「法語カレンダー」4月のことば)
 暦はいよいよ4月となり、ようやくと言うよりやっとのことで春本番という気候になりました。西法寺の門前の桜も気温の上昇とともにようやく花を咲かせ始めたのが先月29日でした。寒い3月でありました。

 ご周知のことではありますが、3月11日午後、三陸沖の日本海溝を震源とする日本での地震観測史上類を見ない大地震(東日本大震災)が起こり、特にその地震と津波は未曽有の大災害を引き起こしました。お亡くなりになられた方々に深く哀悼の意を表しますとともに被災された方々にお見舞い申し上げます。

 そして、さらに重大な危機をもたらしているのが、この地震と津波により引き起こされた、東京電力の福島第1原子力発電所の事故です。人体だけでなく生態系そのものに大きな被害をもたらす放射性物質が異常に多くまき散らされるのではないかと恐怖を感じておられる方も数多くおられることと思います。その原発の危機をくい止めるために、多くの方々が連日連夜危険に身をさらしながら作業に取り組んでおられることも事実です。

 テレビ・ラジオ・新聞は毎日この震災のことを報道し続けておられます。多くの避難所が映し出され、色々な品物がないこと情報が入らないこと、ご家族友だち知り合いの方と連絡が取れないことなどを訴えておられました。そんな避難所の生活のなかで、多くの小中学生や若者たちが活発に動き回り皆を元気づけている素晴らしい姿も映されていました。

 私自身は、今、大阪に住んでいて、毎日テレビや新聞などで見聞きしているだけです。震災からすでに20日以上経ち何もすることができずに今まできました。とても恥ずかしい思いがします。ただ、被災された方々の復興はまだまだ続くことも事実です。今後は自分にできるだけの協力をささやかながらさせて頂こうと思っています。

 さて、親鸞聖人ならこのような時にどう申されるだろうか。と思いますと、これは私の勝手な想像ですが「一緒にお念仏申しましょう」と言われるのではないかと思うのです。被災された方々を前にされたら恐らくできるだけの手助けをされることだろうと思います。その上でのことですが「あなたも一緒にお念仏なさいませんか」とすすめられるのではないかということです。

 親鸞聖人にとっては、念仏(南無阿弥陀仏)は阿弥陀仏より私に与えられた言葉であるというだけでなく阿弥陀仏そのものであると受け取っておられます。例えば、『歎異抄』の後書きの部分には「この世の中で、念仏だけが真実(絶対に変わらず嘘偽りが無い)である」と示されています。

 その阿弥陀さまはすべてのいのちを救いたいとはたらいておられる、つまり、すべてのいのちを抱きかかえておられるのが阿弥陀さまなのです。
 そんな意味で念仏を称えるといことは、すべてのいのちとは思えなくても、自分に縁ある多くの方々と一緒にある自分だということ、遠く離れていても、この世で2度と顔を合わせることができなくなった人とも同じ阿弥陀さまの手の中にいると認識できる世界であると言えるのではないでしょうか。

 今月の言葉は、教行信証の行の巻の中に出されています。
 『楽邦文類(らくほうもんるい)』という西暦1200年頃のお浄土に関する文章を集めた中国の書物から引用された文章の中の言葉です。

 南無阿弥陀仏は称えやすいのです。それは、自分の中に保ちやすいからすぐに口に出るということです。その南無阿弥陀仏は阿弥陀さまそのものなのです。つまり、阿弥陀さまは私と何時も一緒におられるということです。ですから、この世のいのちの縁が尽きたら阿弥陀さまに抱かれてお浄土へ生まれさせて頂くこともたやすいと言われるのです。
 お念仏のおいわれをよくよく聞かせて頂くことで開かれる世界があります。
南無阿弥陀仏