本文へスキップ

浄土真宗本願寺派 西法寺 大阪府柏原市

〒582-0021 大阪府柏原市国分本町5-6-19

TEL.072-977-3882

浄土真宗とは

今月の法話

2013年5月の法話
   「鈴と、小鳥と、それから私、みんなちがって みんないい」
(2013年 真宗教団連合「法語カレンダー」5月のことば)
 『私と小鳥と鈴と』
   私が両手をひろげても、
   お空はちっとも飛べないが、
   飛べる小鳥は私のように、
   地面(じべた)を速くは走れない。

   私がからだをゆすっても、
   きれいな音は出ないけど、
   あの鳴る鈴は私のように、
   たくさんな唄は知らないよ。

   鈴と、小鳥と、それから私、
   みんなちがって、みんないい。
(金子みすゞ童謡集「私と小鳥と鈴と」JULA出版局より転載)  
 5月の法語は、金子みすゞさん(1903年〜1930年)が書かれた上の童謡詩の言葉《下線部分》です。

 金子みすゞ(本名テル)さんは、明治36年大津郡仙崎村(現在の長門市仙崎)に生まれました。成績は優秀、おとなしく、読書が好きでだれにでも優しい人であったといいます。

 そんな彼女が童謡を書き始めたのは、20歳の頃からでした。4つの雑誌に投稿した作品が、そのすべてに掲載されるという鮮烈なデビューを飾ったみすゞさんは、『童話』の選者であった西條八十に「若き童謡詩人の中の巨星」と賞賛されるなど、めざましい活躍をみせていきました。

 ところが、その生涯は決して明るいものではありませんでした。23歳で結婚したものの、文学に理解のない夫から詩作を禁じられてしまい、さらには病気、 離婚と苦しみが続きました。ついには、前夫から最愛の娘を奪われないために自死の道を選び、26歳という若さでこの世を去ってしまいます。

 天才童謡詩人、金子みすゞさんは、自然の風景をやさしく見つめ、優しさにつらぬかれた彼女の作品の数々は、21世紀を生きる私たちに大切なメッセージを伝え続けています。
(金子みすゞ記念館ホームページより参考)

 みすゞさんは小さい頃から手を引かれ、よくお寺にお参りされていたそうで、仙崎というお念仏の薫る土壌がある町、信仰あつい家族の中で育たれたみすゞさんだったのです。
 みすゞさんの詩を読ませて頂きますと、いのちそのものに対する思いが多く表現されているように感じるのです。
 多くの方々が、みすゞさんの詩に、いのちに対する温かさ、やさしさ、哀しみ慈しみを感じておられるのではないかと思います。みすゞさんのその様な心は、家庭で町でお寺で触れられた阿弥陀さまのはたらきに育まれたものではないかという方もおられます。

 「みんなちがって みんないい」素晴らしい響きです。
鈴と小鳥と私とみんな違うけれど、みんな大切ないのちを生きていることを表現されたのでしょう。
 いのちを比較し差をつけ価値を決めてしまいがちな私どもに向かって、いのちそのものが尊く大切なものではないのですか?と、問いかけておられる言葉だとも受け止めさせて頂きたいのです。
 そして、阿弥陀さまの私たち一つひとつのいのちを絶対に捨てることないはたらきを聞かせて頂くことの大切さを思うことです。
南無阿弥陀仏