浄土真宗本願寺派 西法寺 大阪府柏原市

（2013年　真宗教団連合「法語カレンダー」10月のことば）

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今月の言葉を読んで、まず最初に思ったことが、東京電力福島原子力発電所の事でした。
２０１１（平成２３）年３月１１日に起きた東日本大震災で被害を受け、２年半たった今も放射能漏れの問題、廃炉の問題、周辺住民の方々が地元に住むことのできないことなど、事態が好転していくような方向が全く見えないような状況が続いております。その対処のために、毎日毎日、多くの方々がご苦労されていることでもあります。

「原発は危ない」とは以前からよく聞かされていたことです。しかし、その危険も人間の知恵によって解決回避できるのではないかとも思っていました。と、言いますより、そう思い込みたいという思いが自分の中にあったという方が、より正確だと思います。
それは、いつの間にか自分をそう納得させるようになっている自分であり、そう思う方が自分の都合のよい方へ事が運ぶように考えてしまうからでしょう。つまりは、自分の生活が便利であればよいという思いが心の底にあると思います。

しかし、今回の被災（事故と言ったほうがよいかもしれませんが）で、原発の危険性が、ハッキリと知らされました。如何に安全と言っても、今回のようなことが起ると、周りに人が住めなくなること、原子炉がだめになってもすぐに廃止してかたづけることができないこと、使用済核燃料の最終処分場がないことと処分までに恐らく１００万年かかることなど、本当に大変な問題を抱えているのが今の原発であることを知らされました。
　先日ラジオでこの核問題について「人間はなんと恐ろしいものに手を出したのでしょうか」とパーソナリティーの方が言っておられました。全くその通りだと思いました。

　現代は本当に便利になりました。洗濯一つをとってみても、タライから始まり、洗濯槽が一つの電気洗濯機、二槽型洗濯機、今は又、一槽型で全自動と、本当に便利になったものです。ところが、便利になった分、洗濯の設定がややこしくうまく動かすことができなかったり、故障をしてもどこが悪いのか全く分からないこともあります。結局手洗いした方が良い場合もあります。
　何が便利なのかよく分かりません。

　便利なことが当たり前のように思い込んでいるのが、私たちかもしれません。そのような私たちに、警鐘を鳴らして下さるのが「今月の言葉」だと思います。便利を求めることは、欲望をどんどん膨らませることです。そのことにより、多くのいのちを軽視していくことにもつながるのではないかと思います。それは、自分の都合でしかものを見なくなって、いのちに差をつけることになるからです。

　仏さまの智慧は、そんな私の煩悩だらけの身を教え、いのちの真実を教えて下さるものです。だからこそ、縁あるごとに仏の教えを聞かせて頂くことが大切なのです。

南無阿弥陀仏