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浄土真宗本願寺派 西法寺 大阪府柏原市

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浄土真宗とは

今月の法話

2015年7月の法話
  「私が 私であってよかったといえる あなたになれ」
(2015年 真宗教団連合「法語カレンダー」7月のことば)
 今月は、中島みどりさんという方の言葉です。中島さんは、1999(平成11)年10月5日享年40歳でお浄土に往生されました。その15日前に書かれた文章の中に出されているのが今月の言葉です。
 それは、西本願寺の本願寺出版社から2001年に刊行された中島さんの手記『白蓮華のようにーあなたに会えてよかったー』に掲載されています。

 中島みどりさんのことについては、所属寺の広島市西区の蓮照寺の清原徹也前住職が、この冊子の序文に紹介されています。
「彼女は子ども時代に広島県賀茂郡大和町の明圓寺(内藤良範住職)の日曜学校に通っていました。青年期には常に人生とは何か、何のために生まれて来たのか、と問い続け、思索と読書の日々でありました。やがて、親鸞聖人の書物に出逢うことによって、短大時代から聞法の生活が始まったようです。
 彼女の一生涯は短かったけれど、種が芽を出し、花を咲かせ、結実したといっても過言ではないといえます。名実ともに生粋の安芸門徒でした。」と、記されています。

 中島みどりさんはご主人と小学二年生の夏美(なつみ)ちゃんと幼稚園児の洋生(ひろき)くんの4人家族でした。
 みどりさんが悪性リンパ腫と診断され、激痛の中でご家族に妻として母として愛情のこもった言葉をつづられ、思いのすべてを伝えていこうと書かれた手記がこの本です。

 以下、本を引用させて頂きます。
『……そして夏美、洋生も生まれてきてよかったといえる自分になって下さい。何のためにこの世に生をうけたのか、必ず目的があってのことです。お母さんが思うには「私が私であってよかったといえる私」だといえることではないでしょうか。その私が私であってよかったといえる私は、お金持ちになったり、健康だからよかったといえるようになったとか、そんなことではないのです。……(中略)……
 お金がなくても病気をしてもいろんなことをするなかで、いつでも、どんなときでも、「私が私であってよかったといえるあなたになれ」と呼びかけてくださる方があった。その呼び声を聞くということが、人間のいちばん大事な願いではないでしょうか。そのお方こそ親鸞聖人だと私は思います。だから「お母さんは、お母さんでよかったと思ってます」、お母さんは、親鸞さまが大好きです。
 そしてお父さんと出会い結婚して「あなたと出会えてよかった」と思いました。そしてあなたと出会えたおかげで、私が私であってよかったと思えるようになったのです。これが人間のいちばん深いいのちの叫びではないでしょうか。このいのちの叫びを、端的にその通りに素直に受け入れていける道が開かれた。それが親鸞聖人が教えてくださった真宗の教えです。夏美、洋生どうか手を合わせることのできる人間になってほしいと思います。……(後略)……』
引用が長くなりました。
 
 今の自分をそのまま受け入れること、今ここにいのち頂いていることを喜べることが本当の安心ですよと教えてくださっているように思います。
 不平不満ばかりがどんどん大きくなり、自分自身を見失いがちな私に、「そんなあなたが大切なのです」とはたらき続ける阿弥陀さまなのです
 ですから、阿弥陀さまのおはたらきを聞かせていただくご縁を大切にしたいものです。
南無阿弥陀仏