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浄土真宗本願寺派 西法寺 大阪府柏原市

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浄土真宗とは

今月の法話

2016年7月の法話
 「往(ゆ)くも還(かえ)るも 他力(たりき)ぞと
          ただ信心(しんじん)を すすめけり」

(2016年 真宗教団連合「法語カレンダー」7月のことば)
 今月の言葉は「正信偈」の「往還回向由他力 正定之因唯信心(おうげんねこうゆうたりきしょうじょうしいんゆいしんじん)」を意訳したものです。

 この正信偈の御文の読み下しは、「往還(おうげん)の回向(えこう)は他力(たりき)による。正定(しょうじょう)の因(いん)はただ信心(しんじん)なり」【『浄土真宗聖典(註釈版)』】です。

 現代語版には《往相(おうそう)も還相(げんそう)も他力の回向であると示された。浄土へ往生するための因は、ただ信心一つである》【『顕浄土真実教証文類(現代語版)本願寺刊』】と示されています。

 今月の法語は、曇鸞(どんらん)大師さま(476〜542)が、阿弥陀さまのはたらき(他力)と、私達が浄土へ往生させて頂く因は信心一つであることを示されたものです。

 曇鸞さまは、雁門(がんもん)(現在の中国山西省代県)の生まれで、神鸞(じんらん)と呼ばれるほどに才覚すぐれた学者であったようです。ところが健康を害して、自らの志す仏教経典の註釈ができなくなったことから、不老長生の法を求めて江南におられた仙人の陶弘景(とうこうけい)という方を訪ね、仙経(仙人の長生不死の教えを説かれたお経)を授けられたのです。
 その帰り道、洛陽(らくよう)で、仏教を広められていた菩提流支(ぼだいるし)という方に出会い、浄土教の経典を授けられたのです。そこで曇鸞さまは、浄土の教えの素晴らしさに触れ、苦労して得られた仙経を焼き捨てられて浄土教に帰されたのです。

親鸞さまは、このことをご和讃に
  本師曇鸞和尚は      菩提流支のをしえにて
  仙経ながくやきすてて    浄土にふかく帰せしめき
 《本師曇鸞和尚は菩提流支の教えを聞いて、長生不死の仙経を永久に焼き捨てて浄土の教え に深く帰依されました》
と、詠まれています。

 この曇鸞さまの行動は、何を示すものでしょうか。
 曇鸞さまは自分が仏道修行をするために長く生きることを目的として仙人の長生不死の術を学ばれたのです。ところが菩提流支さまの勧めで浄土の教えを聞かれ、自分一人が長い間修行し勉学に励み悟りを開き仏に成ることを目的とする生き方ではなく、いつどうなってしまうかわからない不安定ないのちをかかえて生きている自分が、他の人々と共に浄土に生まれ仏の悟りを開くことを生きる目的とされたということだと思います。
 そこで仙経に頼ることなく、浄土の教えつまり阿弥陀さまのはたらきによって成仏させて頂く道を選び取られて、仙経を焼き捨てられたのだと思います。

 今月の言葉は、私がお浄土に往生させて頂くのも、お浄土で悟りを開き成仏するのも、仏と成ってお浄土から還って他の人々を救うためにはたらくことも、すべて阿弥陀さまのはたらき(他力)であると申されています。
 その阿弥陀さまのおはたらきをそのまま受け取り、おまかせすることが信心です。
 阿弥陀さまが何時でも何処でも私にはたらきかけ、このいのちを引き受けてくださっていると受け取らさせて頂き、お礼のお念仏(南無阿弥陀仏)を称えさせて頂きましょう。
南無阿弥陀仏