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浄土真宗本願寺派 西法寺 大阪府柏原市

〒582-0021 大阪府柏原市国分本町5-6-19

TEL.072-977-3882

浄土真宗とは

今月の法話

2021年3月の法話
  「私の上(うえ)にあるものは 
          全部(ぜんぶ)賜(たも)うたものである」
          (2021年 真宗教団連合「法語カレンダー」3月のことば)
 今月の法語は、細川巌(ほそかわいわお)(1919〜1996)先生の言葉です。
 先生は、福岡県のご出身で広島高等師範学校(現広島大学)に進学された科学者です。専門は「分析化学・地球化学」だそうです。
 私自身は細川巌先生のことを全く知らないのです。そこでインターネットで検索してみました。
 化学者である先生が仏教(浄土真宗)に傾倒され多くの場で歎異抄などの講演をされておられたことを知らされたことです。ネットに先生の講義録が公開されており少し読ませていただきましたら先生と仏教との出遇いのことが書かれてありました。

 『私自身は一番初めは大学の二年生の時で、これは西も東もわからんというよりも全然仏教というものに関心を持っていなかった。本当に仏教を求めようという気もなかった。私はやむを得ず仏教を聞くようになったのであります。
 もうかなり前になりますが、私がその寺で大学の寮の世話をしなければならなかった。その寮で朝晩浄土真宗のお勤めがあって、お話がある。それに誰も出ないものですから、私は寮の監督上、責任上やむを得ず、一人位は出ておかないとお世話になっている関係上エチケットに反するのではないかと座っていた。そして聞くともなしに聞いていた。
 それに関心があったのでもなんでもないのであります。しかしそれでも聞いている。そしてとうとう深い世界に導いてゆかれたのであります。
 私はそういう経歴でございまして、家が浄土真宗でもなければ浄土宗でもない。私の親は真言宗であります。また私自身は化学者であります。だから別に仏教学を専攻したわけでもなんでもない。家はお寺でもなく小さな商売をしていました。
 そこで私が言いたいことは、聞いてゆきさえすれば必ずわかってもらえるということでございます。それは私自身の経験によるからであります。私のように何の関心もない、そして素養のないものが、また専門家でもないものが、しかしながら聞いているうちにだんだんと本願がわかってくる。そして自分自身がわかってくる。遂に仏、法、僧というもの、大いなるものにめざめてくる。
 私はこのことについては非常に自信を持っております。必ずわかってもらえるという自信を持っております。ただ続けてもらわんといかん。途中でやめてもらっては具合がわるい。』

 長い引用になりましたが、非常に大切なことをお教えいただいていると思うのです。
 それは、お念仏の教えを聞くこと聞き続けることによって開かれてくる世界があるということです。先生は教えを聞き続けて頂くことで自分自身をわからせて頂くことであるとも教えてくださっています。
 3月の法語は、そのようなことを表してくださっているのだと思います。
 「私はすべて賜りものの中で生きている」と言い換えていいのだと思いますが、私のいのちは数限りない多くのはたらきから頂戴した、かけがえのない大切な命であるということでしょう。
 ところがそう知らされても、そのいのちを本当に大切にして生きていく方法もわからず、自分の都合や欲望などによって命を粗末にしてしまうのが私であるのだと思います。
 だからこそ、私の事を放っておけない阿弥陀さまがおられ、はたらき続けてくださっているのです。私の方は、その阿弥陀さまにおはたらきを聞き続けさせていただくことが大切なのです。
 南無阿弥陀仏と称え、書物を読ませていただき、ご法話を聞かせて頂くなど、色々なご縁を通し阿弥陀さまのおはたらきを受け取らせていただきたいものです。
                                    南無阿弥陀仏